作品詳細
HITORICA FOCUS
28歳で戦病死した夭折の天才監督の遺作
江戸深川の棟割長屋。長い梅雨で住人たちは、食うや食わずの暮らしぶり。浪人・海野又十郎は、今日も再就職の途を求め毛利三左衛門を訪ねるが、なかなかいい返事がもらえない。ようやく雨が上がり、仕事に出かけようとする髪結の新三の前に岡っ引きが現れた。同じ長屋に住む老人が首をつったのでそのお調べのためである。おかげで新三は、貴重な晴れ間を丸一日つぶされた。髪結い道具をカタに頼んだ借金も、町の財閥白子屋ににべもなく断られ、さんざんな一日となった。縁日の晩、雨宿りをしている白子屋の娘・お駒を見かけた新三は、日頃からにらまれている源七親分の鼻をあかそうと彼女を誘拐した。そして何も知らない又十郎に彼女を預けるが…。
監 督 山中貞雄
出 演 河原崎長十郎、中村翫右衛門、山岸しづ江、中村鶴蔵、坂東調右ェ門、霧立のぼる
日本| 1937| 86min| 東宝|
- ヒューマンドラマ
監督
山中貞雄 [映画監督]
1909年、京都市生まれ。1927年マキノ映画に入社。『磯の源太 抱寝の長脇差』(1932)で寛寿郎プロから監督デビュー。処女作がキネマ旬報ベストテンで8位を獲得。1933年、日活京都撮影所に移籍する。そして大河内伝次郎主演の『丹下左膳余話 百万両の壷』(1935)、初めて前進座と組んだ『街の入墨者』(1935)、『河内山宗俊』(1936)などを発表。1937年、山中貞雄は東京のP.C.L.(現東宝)に招かれて移籍。前進座とともに『人情紙風船』(1937)を撮り上げる。1938年9月17日、河南省の野戦病院で急性腸炎のため死亡。享年29歳。
OTHER FILMS
その他の作品を見る