吉岡の御曹子清十郎の左肩の骨を一撃のもとに打ち砕いた武蔵は、殺気あふれる今の心境を、本阿弥光悦の母妙秀に指摘され、はっと胸を衝かれる。一方、吉岡道場は、門弟一同に武蔵の宿所を探すよう命じる。本阿弥光悦に誘われ遊郭扇屋に上る途中、武蔵は吉岡伝七郎からの果たし状を受けた。扇屋で、吉野太夫を呼び入れた武蔵は、機を見て抜け出し蓮華王院三十三間堂へ。雪の中、武蔵と伝七郎は相対するが、二本の刃が閃いた瞬間、武蔵は伝七郎をなぎ倒していた。名誉を汚されていきり立つ吉岡道場。やがて佐々木小次郎の進言で、武蔵対吉岡道場の果し合いが行われることになる。眼下の敵七十三人に対して武蔵は一人。まもなく到来する生と死の岐路に臨む武蔵は、大小二刀を抜き放ち、下り松めがけて一気に走る!