ご挨拶

 11回目を迎えた京都ヒストリカ国際映画祭は、歴史をテーマにした世界で唯一の映画祭として国内外注目の歴史映画を上映するとともに、京都における映画製作の活性化と技術の継承・人材の育成を目指しています。
 10年間の歩みは、私たちがつくり続けてきた日本映画の価値を問い直し、新たな創造の刺激を見出そうとする時間でもありました。そうした積み上げが、今年の映画祭の多彩なプログラムに反映されていると確信しています。京都がアニメ文化史に刻んだ足跡を深掘りしようとする特別企画もその成果の一つであると言えます。作品を提供していただいた方々に感謝申し上げます。
 映画祭を訪れるみなさんにもさまざまな作品にふれて、新鮮な驚きを体験していただきたいと思います。そしてこの映画祭が、自国の歴史や文化を語り合う国際交流の場となることを願っています。

 

京都ヒストリカ国際映画祭実行委員会
実行委員長 阿部 勉(松竹株式会社 映像企画部 脚本開発室 ゼネラルマネジャー)

 

 人と人を隔てることしか出来ていない社会に未来はあるのだろうかと思う。目もくらむようなテクノロジーの進化も、人にとってマイナスの方向に機能していくように見えてしまう。ともすれば悲観し放題の現在、人と人を繋ぐ物語を求める気持ちはかつてなく高まっているのだろう。カネや言葉を超えて惹きつけるチカラは、量りしれない何かを生むことが出来るはずだ。
 京都アニメーションを襲った悲劇を前にしては、非力さを噛み締めるくらいしか出来なかったが、世界から届けられた京都アニメーションへの祈りの大きさと熱さに、あらためて物語の力強さを教えられた。
 今年のヒストリカでは、映画の物語に魔法をかける人たちを紹介します。サイレント映画に声を与えたカツベン!たち。朝ドラに描かれた時代 日本のアニメーションの「なつぞら」時代を駆け抜けたアニメーターたち。劇画に血肉 を滴らせジャンルを切り拓いた時代劇職人たち。そして、切実な祈りと応援 を集める京都アニメーションの圧倒的な仕事ぶり。
彼らの魔法は人を力づけることが出来るものだから。

京都ヒストリカ国際映画祭実行委員会
プログラム・ディレクター 髙橋 剣(東映株式会社 京都撮影所 スタジオ事業部長)



主催:京都ヒストリカ国際映画祭実行委員会
(京都府、京都文化博物館、東映株式会社京都撮影所、株式会社松竹撮影所、株式会社東映京都スタジオ、巌本金属株式会社、株式会社ディレクターズ・ユニブ、立命館大学)