日本にも映画が王様の時代があった! 時代劇ミュージカルコメディの傑作
監 督 | 沢島忠 |
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出 演 | 美空ひばり、江利チエミ、東千代之介 |
制作国 | 日本 |
制作年 | 1962 |
時 間 | 85min |
言 語 | 日本語 |
字 幕 | 英語 |
配給 | 東映 |
近眼のお君(美空ひばり)あわてん坊のおとし(江利チエミ)は芝居小屋の下足番。芝居は大好きだが下駄と草履は飽き飽きだ。そこに舞い込んだ乞食坊主の法界坊(東千代之介)は麻薬密売を追う潜入捜査中の南町与力だった。まとめて一網打尽にされてしまったお君たち、奉行所からの金一封を懐に東海道を弥次喜多道中と決めこんで――。
麻薬密売の摘発と恋の鞘当てという大筋はあるものの、ここでは賑やかで破茶滅茶なアイデアが常に優先される。茶店では酒に祭り、坂道には柿、早駕籠は客も走り、隙あらば歌に踊り。ひばり・チエミがいたら映画なんてどうとでも作れる安心感が満ち溢れている。映画が王様の国がここにある。時代劇ミュージカルコメディの到達点。
1950年東横映画(東映の前身)入社、助監督としてマキノ雅弘・渡辺邦男・松田定次らの作品を担当。57年『忍術御前試合』で監督デビュー。以後、年に4・5本のハイペースで監督し全盛期の東映時代劇を牽引した。ミュージカル・コメディ・サスペンスのジャンルを時代劇に導入し、詰め込んだ物語を現代言葉でまくし立てるストーリーテリングは沢島以前の時代劇をスピード感で圧倒した。美空ひばり・中村錦之助らの絶頂を演出し日本映画全盛期のゴージャスな面白さを代表するエンタメ監督である。今回はジャンルを横溢する時代劇の魅力を世界に問う貴重な上映となる。2018年1月27日91歳で死去。最後まで新作映画への夢を失わなかった。