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『真田風雲録』
Sasuke And His Comedians
大阪の陣が舞台の コメディミュージカル。 チャレンジの跡が随所に見られる、 加藤泰の異色作

『真田風雲録』

監 督:加藤泰

出 演:中村錦之助、ジェリー藤尾、ミッキー・カーチス、渡辺美佐子


制作国:日本

放送年:1963

時 間:100min

配給: 東映

あらすじ

関が原の戦いが終わった。浮浪児たちは落武者狩りを楽しんでいた。そこで出会った目が光る少年・離れ猿の佐助は彼らの心を読んでしまう。巨大隕石の放射能に触れて術を身につけたらしい。おませなお霧は佐助に熱を上げるが人の心の移ろい易さを知る佐助は仲間から離れてしまう。年が過ぎ、豊臣方は徳川に大阪城に追い込まれていた。関が原の浮浪児たちは成長し大阪城に向かっていた。「万が一豊臣が勝てば俺たち浪人百姓の天下だ。いっそカッコよく暴れようぜ」という真田幸村に出会った彼らに佐助も合流する。動く気のない豊臣幹部に歯向かい徳川に斬りこむ真田十勇士、重臣・大野修理は彼らの背中に発砲を命じ、佐助の子を身ごもったお霧は倒れ・・・。

みどころ

1960年代、退潮が鮮明になって来た東映時代劇は、いくつもの挑戦をしかける。本作もそうした背景が生んだ題材といえるだろう。当時気鋭の劇作家だった福田善之の原作戯曲は60年安保のアナロジーであり、雪隠詰めにあった大阪城をバリケードに篭る左翼学生と見立てたものだ。レッドパージをうけた加藤泰だったが政治とは本来遠い人で、この題材をSFコメディ時代劇とでもいうべき見せ物に仕上げた。中村錦之助のキャラクター、ミッキー・カーティスやジェリー・藤尾を起用したキャスティング、戯画化された大阪城内の重臣達など、フィルモグラフィの中でも異彩を放つ描写もまた、映画原初のチカラを信じきった活動写真作家・加藤泰の魅力だ。

監督:加藤泰

伊藤大輔作品など無声映画に夢中になり、叔父の監督・山中貞男を 頼り映画界に入る。51年に監督デビュー、東映を中心に時代劇・仁侠映画を監督する。60年代以降は各社で大型の作品にジャンルを越えて挑み、固定・ロー アングル・長廻しの手法と映画原初の力に溢れた活劇で評価を確立した。社会の枠外にいる男女の情熱と生きざまを慈愛と憤怒で物語り、ワイド画面の奥までに活きた人間が横溢する画面を作る凝視の演出力は世界映画史で異彩を放つ。98年のロカルノ映画祭での特集上映は、シネフィルを驚愕させる事件となった。ドメスティックな物語を普遍的な活劇として描いた手腕を世界がどう捉えるか、意義深い上映機会となる。