夢みる美空ひばりが若さまの嫁探しから 映画までを引き摺り回すミュージカルコメディ
監 督 | 沢島忠 |
---|---|
出 演 | 美空ひばり、鶴田浩二、高田浩吉 |
制作国 | 日本 |
制作年 | 1961 |
時 間 | 85min |
言 語 | 日本語 |
字 幕 | 英語 |
配給 | 東映 |
白馬城が見える貧しい村で暮らす機織り娘のお君(美空ひばり)は、若殿さまの花嫁探しの昔話を信じ夢みていた。そこにハンサムな霧太郎(鶴田浩二)が舞い込んだ。お君は姿を偽った若殿さまと信じるが、本当は殿様小僧という泥棒で挟み箱の小判を盗みに来たところだった。霧太郎の甘言に操られ、若殿のためと千両を持ってきてしまうお君を霧太郎一行は江戸へと連れて行くが、道中助けたチンピラに千両を盗られてしまう。
ハンサムな泥棒と夢みる少女の恋物語をミュージカルコメディとして描き時代劇の幅を拡げることに成功した。ひばりの歌を折々に配し、映画の楽しさを満喫させてくれる。ファンタジーとして許される奥行きは欠くもののシンボリックな美術と、石床から二階まで緻密に作られた酒場セットの対比にはチーム沢島の密度を感じさせる。
1950年東横映画(東映の前身)入社、助監督としてマキノ雅弘・渡辺邦男・松田定次らの作品を担当。57年『忍術御前試合』で監督デビュー。以後、年に4・5本のハイペースで監督し全盛期の東映時代劇を牽引した。ミュージカル・コメディ・サスペンスのジャンルを時代劇に導入し、詰め込んだ物語を現代言葉でまくし立てるストーリーテリングは沢島以前の時代劇をスピード感で圧倒した。美空ひばり・中村錦之助らの絶頂を演出し日本映画全盛期のゴージャスな面白さを代表するエンタメ監督である。今回はジャンルを横溢する時代劇の魅力を世界に問う貴重な上映となる。2018年1月27日91歳で死去。最後まで新作映画への夢を失わなかった。