関連上映
『羅生門』
12/7(金) 15:00-
※関連上映の作品については京都文化博物館にて当日券のみの販売となります。

1950年大映京都(87分)
監督:黒澤明
出演:三船敏郎、京マチ子、志村喬
言語:日本語
字幕:なし

【作品解説】

戦禍や疫病その上天災が続く平安の世、山科の国の山道に一人の侍が胸を一付きにされ殺されていた。死体を発見した旅法師と柚売りの訴えにより、検非違使は当時付近を荒らし廻っていた盗賊多襄丸を捕らえた。そして、多襄丸、侍の妻、巫女を使って呼び出した侍の霊の三者に、事件の真相を語らせた。しかし、三人はそれぞれ自分に有利な供述を始め、肝心な事件の真相は解明されない。激しい豪雨の中に竣立する羅生門の下、多襄丸は呟いた。「本当のことが言えねぇのが人間さ。人間って奴は、自分自身にさえ白状しねぇことが沢山あらあな」・・・
本作脚本の橋本忍は伊丹万作に師事し、会社員をしながら書き貯めた脚本を黒澤監督に預ける。その中の一作が芥川竜之介の「薮の中」を原作にした「雌雄」であった。黒澤監督は3話構成の橋本脚本に、下人の1話と羅生門でのヒューマニスティックな結びを加えタイトルを『羅生門』として映画化する。巨大な羅生門のオープンセット1つと、ロケーションは奈良・奥山と京都・光明寺の森で行われた。音楽、美術、俳優とも黒澤組で堅め、キャメラは監督が一度組んでみたかったという宮川一夫が担当する。当時、映画の原点でもある無声映画の好さ、独特の映像美を取り戻したいという焦燥に苛まれていた黒澤監督は、奇抜なプロットを直裁な脚本にまとめ、その分イメージを膨らませてまとめあげた。ヴェネチア映画祭で本作は、「初めて森の中にキャメラが入った」と評され、『欲望という名の電車』(エリア・カザン)、『田舎司祭の日記』(ロベール・ブレッソン)、『河』(ジャン・ルノアール)を尻目に見事グランプリ(金獅子賞)を獲得する。そして翌年のアカデミー賞でも最優秀外国語映画賞に選ばれた本作は、日本映画の存在を世界に知らしめる端緒となった。(キネマ旬報賞第5位作品)